昨今のトレンドであるサステナビリティ(持続可能性)に関して、正しく理解して商品を選択するために私たちも原料、生地、加工、縫製などのプロセスを正しく学び理解していく必要があります。
オーガニックコットンまつわるよくある間違った認識として下記のようなものがあります。
オーガニックコットンは肌にやさしいから選んでいます。
オーガニックコットンは体に安全なので友達の出産時の贈り物に選びました。
アレルギーのある友達にオーガニックコットンのタオルをプレゼントしました。
結論から申し上げますと、上記の認識は間違っています。
なぜなら
1、オーガニックコットンであってもソフトで肌に優しいとは限らない。
2、オーガニックコットンであっても安全とは限らない。
3、オーガニックコットンであってもアレルギーにいいとは限らない。
人に贈り物などするときほど正しく商品を理解して、想いを持って贈りたいですよね。正しく背景を理解していれば喜ばれる贈り物を送ることが出来ます。この記事では間違ったオーガニックコットンの認識の背景とどのように商品を選べばよいのかをお伝え致します。
オーガニックコットンとは?なぜ間違ったイメージが起こるのか
オーガニックコットンとは、オーガニック農産物等の生産方法についての基準に従い、2 – 3年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、認証機関に認められた農地で農薬・肥料の基準を守り、更に栽培時に、社会的規範を守って作られた綿花のことである。
参考文献 オーガニックコットンとは – 日本オーガニックコットン協会
上記が日本オーガニックコットン協会によるオーガニックコットンの定義となります。一般的にオーガニックコットンと聞くと「農薬や肥料に対して厳しい基準を持った土壌で栽培された綿である」というイメージが強いと思います。このイメージがオーガニックコットンであれば「安全である」「肌に優しい」といったイメージを作り出しているのではないかと思います。
なぜオーガニックコットンであるだけでは安全とは言えないのか?
その秘密は下記、日本オーガニック協会のオーガニックコットンに関する説明にもあります。
普通の綿とのちがい
収穫されるコットンそのものには、オーガニック綿でも普通の綿でも変わりはありません。普通に栽培された綿でも、残留農薬はとても少ないので、収穫されたものから科学的なテストなどでオーガニックかどうかを判別することは不可能です。
参考文献 オーガニックコットンとは – 日本オーガニックコットン協会
上記で注目してほしいことは、日本オーガニックコットン協会も「普通に栽培された綿でも、残留農薬はとても少ないので、収穫されたものから科学的なテストなどでオーガニックかどうかを判別することは不可能です。」
とはっきりと言っております。ということはオーガニックコットンであっても普通の綿でも綿のもつ特性に変わりはないということです。
ではなぜこうした間違った認識が世の中にあるのかというと、実は皆様に販売しているアパレル企業やその社員の方も間違った認識のまま販売していることがよくあるということです。実際店頭でオーガニックコットンの特徴は何かと店員さんに聞いていただければ、多くの方が肌に優しい、安全などのことを説明するかと思います。このような人たちは物作りを理解していないケースが多く、認識も間違ってしまっています。
オーガニックコットンどうすれば安全と言えるのか?
ではどのようにすればオーガニックコットンが安全であると言えるのか、
これを理解するには商品のもの作り工程を理解する必要があります。
綿花栽培→紡績(綿から糸を作る)→織や編みで生機(染前の生地)を作る→染色・整理→裁断、縫製
このような工程で製品が出来ております。ここで重要なことはまだ現代の技術でも完全に化学薬品を使わずに上記の工程をこなすことが難しいということです。特に染色・整理工程において繊維に色を固着させる固着剤などを使用しなければ色落ちの激しい衣料が出来上がってしまいます。
ということはこの工程に関してきちんと使用化学薬品の制限や管理をし、極力人体や環境に優しい工程で物作りをすればよいのではないかということになります。
これを管理し、最終消費者の方にどの商品がきちんと管理された工程で物を作っているのかを伝えるために認証機関であるGOTS があります。
オーガニックコットン認証機関GOTSとは?
GOTSとは?
G(グローバル)
O(オーガニック)
T(テキスタイル)
S(スタンダード)
という認証機関であり国際的にオーガニックコットンを使用した生地の基準を管理している組織になります。
GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)は、代表的な国際基準策定機関によって、原料の収穫から環境に優しく社会的に責任のある製造を経て、消費者に信頼できる保証を与えるラベリングに到るまで、「繊維製品が正しくオーガニックである」という状況を確保する世界的なルールを定めるために開発されました。オーガニック繊維の消費の成長と、オーガニックに関する統一した判定基準が必要であるとする製造業者や小売業者からの強い要望により、GOTSはすでに世界的な評価を得ています。
参考文献 オーガニックコットンとは – 日本オーガニックコットン協会
そしてGOTSの基準として下記の項目を生産工程のすべての業者や工場が果たさなければ認証されません。
- 原料は70%以上がオーガニック
- 原料から最終製品までの工程を認証
- トレーサビリティー(追跡可能性)を確保
- オーガニック以外と混合、汚染されない管理
- 最終製品に残留物がないかチェック
- 水・エネルギーの使用や廃棄物において環境への配慮
- 毒性の強い薬剤を使わない
- 遺伝子組み換え技術の禁止
- 動物実験の禁止
- 強制労働・児童労働の禁止
- 衛生的で安全な労働環境
- 差別禁止による人権保護
よって商品を選ぶ際にただ、オーガニックコットン使用と書かれたものでは、無農薬や害の少ない肥料を使った土壌で生産されたという事しか証明されないので、正しく安全性などを確認するためにはGOTSの認証マークがあるかどうかを判断材料として加えてください。
オーガニックコットンとは?まとめ
今回の記事の要点をまとめます。
1、オーガニックコットンという表記だけでは生産している土壌の証明にしかならない
2、オーガニックコットンは普通の綿に比べて性質が変わるわけではない。
3、GOTS認証を取れているオーガニックコットンは生地加工での有害化学薬品の不使用などの証明となり安全と言える。
4、サステナビリティ(持続可能性)を考えるとき第三者機関の認証は非常に重要である。
5、商品を選ぶ際に認証マークを確認したほうが良い。
以上、今回の記事が皆様の商品購入の際のお役に立てれば幸いです。
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